生成AI、自分だけ速くなっていませんか?チームの業務効率化につなげる5つのステップ

生成AI、自分だけ速くなっていませんか?チームの業務効率化につなげる5つのステップ

この記事を約3分で解説

音声:VOICEVOX:ずんだもん

「メールの文面を考えるのが速くなった」「資料のたたき台がすぐ作れる」。生成AIを仕事で使い始めて、こんな手応えを感じている方は多いと思います。

でも、チーム全体の仕事は速くなったでしょうか。

2026年10月22日にTANKA Japanが発表した調査では、従業員100人未満の中小企業で生成AIを業務に使っている会社員500人のうち、60.0%が「AIで自分の仕事は速くなったが、チーム全体の仕事はあまり速くなっていない」と感じているという結果が出ました。

この記事では、生成AIを「一部の人の便利ツール」で終わらせず、チームの業務効率化につなげるための5つのステップを、小さな会社の経営者や現場リーダーの方に向けて整理します。

この記事は2026年10月26日時点の公開情報をもとに作成しています。調査の数値は、各調査の発表資料から引用しています。

まず結論:チームで使うための5つのステップ

  1. 使う業務を決める:「何にでも使う」ではなく、まずはチームで2〜3の業務に絞る
  2. プロンプトとテンプレートを共有する:うまくいった頼み方を、個人のメモからチームの共有物にする
  3. 成果物の置き場所を決める:AIで作ったものを、個人のパソコンではなくチームが見られる場所に置く
  4. 入力してはいけない情報のルールを決める:「何を入れてはいけないか」を短く、具体的に決める
  5. 小さく始めて、効果を測る:1か月試して、かかった時間を比べてから広げる

調査から見える「自分だけ速い」の正体

個人は速くなっても、チームは追いついていない

TANKA Japanの調査(有効回答500件)では、生成AIの効果について次のような結果が出ています。

質問結果
自分の作業が速くなった64.2%
チーム(部署)全体の仕事が速くなった51.8%
自分は速くなったが、チーム全体はあまり速くなっていないと感じる60.0%
AIの成果や業務情報を仕組みとして共有している24.0%
共有は個人的に、たまに40.6%
ほとんど・まったく共有していない35.4%

AIで作った文章や資料を、チームで仕組みとして共有できているのは4分の1ほどにとどまっています。

仕事が止まる原因は「人と人の間」

同じ調査では、仕事が止まる最大の原因として「他の人の返事・確認・承認待ち」(28.2%)や「必要な情報や過去の経緯探し」(23.6%)が挙がり、引き継ぎや背景の説明も含めた「人と人の間」の原因が合計71.0%を占めました。一方、「自分の作業そのものに時間がかかる」は21.4%です。

つまり、個人の作業をAIで速くしても、確認待ちや情報探しで止まっていれば、チームの仕事は速くなりません。さらに、「担当者が休む・辞めると止まってしまう仕事がある」は58.6%。仕事のやり方が人に依存している状態、いわゆる「属人化」も目立ちます。

ルールがないまま使われていることも

使い方の面では、「会社に明確なルールがなく、自分の判断で使っている」が35.6%、「会社では禁止されているが使っている」が3.6%でした。また、社長が社員の生成AI利用を「あまり・まったく把握していない」は41.4%です。チームで活用するうえでの壁としては、「会社のルール・セキュリティ上の制約」(30.4%)、「使う人と使わない人の差が大きい」(25.4%)、「情報が個人のPCや個人のAIの中に閉じている」(22.4%)が上位に挙がっています。

そもそも、AIを導入している中小企業はまだ2割

中小企業基盤整備機構(中小機構)が2026年3月にまとめた「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」では、AIの導入率(全社的に導入、または一部の業務で導入)は20.4%でした。導入を検討している企業(18.6%)と合わせると39.0%です。導入済みの企業で最も使われているのは生成AI(82.6%)で、導入の目的は「業務効率化/作業時間の短縮」が87.0%と最多でした。

また、この調査では、社内で不足している情報として「成功事例や活用事例などの情報」が83.3%と最も多く挙がっています。「どう使えばいいのか分からない」という悩みは、多くの会社に共通しているようです。

「社員が個人でAIを使っているが、会社として何も決めていない」という方へ
C-TechLabでは、生成AIを使う業務の整理から、社内ルールづくり、テンプレートの準備、使い方の定着まで、小さな会社に合わせてお手伝いしています。

無料で相談する →

チームで使うための5つのステップ

ステップ1:使う業務を決める

最初にやることは、「チームで何にAIを使うか」を決めることです。「各自、好きに使ってください」のままだと、使う人と使わない人の差が広がるだけになりがちです。

選ぶときは、次の3つに当てはまる業務がおすすめです。

  • 毎週・毎月のように繰り返している
  • 文章を書く、まとめる、整えるといった作業が中心
  • できあがったものを、最後に人が確認できる

最初から全部を対象にせず、2〜3の業務に絞るのがポイントです。

ステップ2:プロンプトとテンプレートを共有する

生成AIへの頼み方(プロンプト)は、人によって大きく差が出ます。うまくいった頼み方を個人のメモにしまっておくのはもったいないことです。

  • うまくいったプロンプトを、業務ごとにまとめて共有する
  • 「誰に向けて」「どんな口調で」「何文字くらいで」「何を必ず入れるか」など、毎回指定することをひな形にしておく
  • 使ってみて直したところがあれば、ひな形のほうを更新する

こうしておくと、AIに慣れていない人でも同じ品質のたたき台を作れるようになり、「使う人と使わない人の差」も縮まります。

ステップ3:成果物の置き場所を決める

AIで作った議事録やマニュアルが、作った人のパソコンやAIの履歴の中にしかない。これでは、ほかの人が探せず、結局また聞きに行くことになります。

  • 議事録、マニュアル、よく使う文面などは、チームで共有しているクラウドのフォルダや社内ツールに置く
  • ファイル名やフォルダの分け方のルールを決めておく(例:「日付_案件名_議事録」)
  • 「最新版はここ」と置き場所を1か所に決める

調査で「仕事が止まる原因」として挙がった情報探しや引き継ぎの時間を減らすには、この「置き場所」の整理が効いてきます。

ステップ4:入力してはいけない情報のルールを決める

チームで使うなら、安全に使うためのルールは欠かせません。分厚い規程を作る必要はありません。まずは、A4用紙1枚程度で次のようなことを決めましょう。

決めること例
使ってよいツール会社が契約・許可したものだけを使う
入力してはいけない情報お客さまの個人情報、取引先から預かった資料、パスワード、未発表の数字など
入力するときの工夫名前や会社名は「A社」「担当者B」などに置き換える
出てきた内容の扱い数字・日付・固有名詞は必ず人が確認してから使う
困ったときの相談先「迷ったら○○さんに聞く」と決めておく

ツールによっては、入力した内容がサービスの改善に使われる設定になっていることがあります。業務で使うツールの設定を、一度確認しておくと安心です。

ステップ5:小さく始めて、効果を測る

ルールとテンプレートができたら、まずは1つのチーム・1か月から始めます。

効果を測るときは、難しい指標は不要です。たとえば次のようなものを、始める前と後で比べるだけで十分です。

  • その業務に1件あたり何分かかったか
  • やり直しや確認の往復が何回あったか
  • 「あの資料どこ?」と聞かれた回数

効果が見えた業務から、ほかのチームや業務へ広げていきましょう。うまくいかなかった業務は、無理に続けず見直すことも大切です。

業務別の活用例

小さな会社で取り入れやすい業務を、チームで使うときのポイントとあわせて紹介します。

業務AIに任せることチームで共有するもの
見積書作業内容の説明文や、条件・注意書きの文章のたたき台品目ごとの説明文のひな形。金額は人が確認する
メール文面お礼、日程調整、お詫び、催促などの下書き場面別のプロンプトと、会社としての言葉づかいのルール
議事録録音や走り書きのメモから、決定事項・宿題・期限を整理議事録の書式と保存場所。宿題の担当者を明記する
マニュアル手順のメモを、新人にも分かる手順書に整える完成したマニュアルを共有フォルダに置き、更新日を書く
問い合わせ対応よくある質問への回答案の作成回答の元になる「よくある質問と答え」の一覧

TANKA Japanの調査でも、AIに任せたい業務の1位は「議事録と決定事項・宿題の整理」(39.6%)でした。議事録は、AIで作ったものをチームで共有する効果が分かりやすいため、最初の一歩としておすすめです。

問い合わせ対応では、AIが作った回答案をそのままお客さまに送らず、必ず人が確認するようにしましょう。

補助金を使う場合は締切に注意

ツールの導入費用については、国の「デジタル化・AI導入補助金」(正式名称は「中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金」。これまでの「IT導入補助金」にあたる制度です)が使える場合があります。

公式サイトの事業スケジュールによると、通常枠の6次締切分の締切は2026年10月30日(金)17:00です(2026年10月26日時点)。この補助金は、事務局に登録されたITツールを、登録された支援事業者と一緒に申請する仕組みです。対象になるかどうかや今後の締切は、必ず公式サイトで確認してください。

なお、補助金を使う場合でも、「どの業務に使うか」「どんなルールで使うか」が決まっていないと、導入しても使われないままになりがちです。ツール選びの前に、この記事のステップ1〜4を整理しておくことをおすすめします。

C-TechLabにできること

C-TechLabでは、小さな会社の業務効率化支援として、生成AIをチームで使うためのお手伝いをしています。

  • 業務の見える化:今の仕事の流れを整理し、AIや自動化で効果が出やすい業務を一緒に探します
  • AI活用支援:業務に合わせたプロンプトやテンプレートを作り、チームで使える形に整えます
  • 社内ルールづくり:入力してはいけない情報など、無理なく守れるルールをご提案します
  • クラウドツール導入:成果物を共有するためのフォルダや社内ツールの整理・導入をお手伝いします
  • 社内定着:社員向けの説明会や、使い始めてからの振り返りまでサポートします

「社員がAIを使っているようだが、実態がよく分からない」「何から決めればいいか分からない」という段階でも大丈夫です。代表エンジニアが直接、状況を伺います。

よくある質問

社員が生成AIを使っているのに、チームの仕事が速くならないのはなぜですか?

結論として、仕事が止まる原因の多くが個人の作業ではなく「人と人の間」にあるためです。TANKA Japanが2026年10月22日に発表した調査では、返事・確認・承認待ちや情報探し、引き継ぎなど「人と人の間」の原因が合計71.0%を占め、「自分の作業そのものに時間がかかる」は21.4%でした。個人の作業を生成AIで速くしても、確認待ちや情報探しで止まっていればチーム全体の仕事は速くなりません。

生成AIをチームで使うには、何から始めればよいですか?

まずはチームで生成AIを使う業務を2〜3に絞ることから始めます。毎週・毎月繰り返している、文章を書く・まとめる・整える作業が中心、最後に人が確認できる、という3つに当てはまる業務が向いています。そのうえでプロンプトとテンプレートの共有、成果物の置き場所、入力してはいけない情報のルールを決め、1つのチーム・1か月から試して効果を測ります。

最初に生成AIを使う業務としておすすめはありますか?

はい、議事録がおすすめです。TANKA Japanの調査でもAIに任せたい業務の1位は「議事録と決定事項・宿題の整理」(39.6%)で、AIで作った議事録をチームで共有する効果が分かりやすいためです。ほかにも見積書の説明文、メール文面、マニュアル、問い合わせ対応の回答案などが、小さな会社で取り入れやすい業務です。

生成AIの社内ルールでは何を決めればよいですか?

分厚い規程は不要で、A4用紙1枚程度で十分です。使ってよいツール、入力してはいけない情報(お客さまの個人情報、取引先から預かった資料、パスワード、未発表の数字など)、名前や会社名を「A社」などに置き換える工夫、数字・日付・固有名詞は必ず人が確認すること、困ったときの相談先を決めておきましょう。

生成AIツールの導入に補助金は使えますか?

使える場合があります。ツールの導入費用には、国の「デジタル化・AI導入補助金」(これまでのIT導入補助金にあたる制度)が使える場合があり、2026年10月26日時点の公式サイトの事業スケジュールでは、通常枠の6次締切分の締切は2026年10月30日(金)17:00です。対象になるかどうかや今後の締切は、必ず公式サイトで確認してください。

参考情報